日本とは違う、イギリスでの0歳の予防接種

育児

イギリスでうまれた我が子も生まれて半年、0歳の予防接種を終えました。

イギリスで出産予定の方は、出産編産後の入院編もご参考になさってください。

予防接種の種類や接種時期は、日本でもイギリスでもほとんど同じなのですが、
予防接種に関しては後進国とも言われる日本、イギリスと違う点もちょこちょこあります。

イギリスで出産後に予防接種がどのように進むか知りたい方、お子さん連れで渡英予定の方、ご参考になさってください。

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渡英、渡日予定の方への注意事項!

これから色々と書きますが、シンプルなメッセージを。

日本で0歳児の予防接種をしてから、渡英予定の方へ

MenBワクチンをお忘れなく!

イギリスで0歳児の予防接種をした方へ

渡日予定があってもなくても、BCGをお忘れなく!

では、詳しく見ていきましょう!

0歳の予防接種の日英の違い、一覧

・6-in-1ワクチン(6種類が入ったワクチン)で打てる
・日本では打たない、MenBワクチンが定期接種
・日本では任意接種の、ロタウイルスワクチンが定期接種
・日本で3回接種の、肺炎球菌ワクチンは2回接種
・日本では定期接種の、BCGワクチンは任意接種
・「不活化ワクチンの後、次の接種まで1週あける」というルールは存在しない
・熱があっても接種可能(熱の測定自体しない)
・基本筋肉注射
・接種前の消毒はしない
・接種するのはナース
注)2019年の情報です。

イギリスでの0歳児予防接種の基本スケジュールは?

イギリスでの予防接種は、生後8週から始まります。
(イギリスでは任意接種になっているBCGを除く)
・生後8週
6-in-1ワクチン①, 肺炎球菌ワクチン(PCV)①, 髄膜炎菌B(MenB)ワクチン①, ロタウイルスワクチン(RV)①
・生後12週
6-in-1ワクチン②, ロタウイルスワクチン(RV)②
・生後16週
6-in-1ワクチン③, 肺炎球菌ワクチン(PCV)②, 髄膜炎菌B(MenB)ワクチン②

四種混合ではなく六種混合! 〜6-in-1ワクチン

日本では、四種混合(DPT-IPV; ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ)ワクチンですが、
イギリスではこれにヒブ(Hib)、B型肝炎も追加した六種混合(6-in-1)ワクチンが接種されます。
(日系クリニックでは、6-in-1ワクチンではない場合があります。)

日本では四種混合、Hib、B型肝炎の3回針を刺さないといけないのが、1回で済みます。

日本では打たない予防接種は? 〜MenB ワクチン

日本では打たない予防接種に、髄膜炎菌B(MenB)ワクチンがあります。

MenB(Meningococcal group B bacteria)とは?

髄膜炎菌はA, B, C, W, Yなど、少なくとも13以上の種類があると言われていますが、
MenBは、この中のB群のこと。

髄膜炎(脳や脊髄を覆う髄膜の炎症)や敗血症(血液の感染症)の原因となり、脳に大きなダメージを残したり、命を脅かす場合もあります。

ヨーロッパではMenBの感染が比較的多く、イギリスでは髄膜炎菌による感染症の約9割を占めているようで、MenBの予防接種が定期接種(全員ルーティンで接種)になっています。
(参照:NHSのHP)

熱の出やすいMenBワクチン

MenBワクチンは、接種後の副作用として発熱が多いワクチンです。

ワクチンの添付文書では、予防的に解熱剤を使用するよう勧めています。
NHS発行のパンフレットでも、接種後すぐ(1時間以内)、4-6時間づつあけて追加で2回、パラセタモール(Paracetamol)2.5mLづつを3回、飲ませる事を勧めています。
(12ヶ月以降での接種は発熱のリスクが高くないため、不要。)

パラセタモールは、日本では商品名カロナールで知られる、アセトアミノフェン(Acetaminophen)のことで、
商品名カルポル(Calpol)が小児用として有名です。

この国では、
「熱が出たら、とりあえずパラセタモールを飲ませておけばよい」
とされているようです。
上の子もナーサリーで熱を出すと、すぐにカルポルを飲まされそうになります。

予防接種後に「熱が下げると免疫がつきにくい」という事はありません。
風邪などの場合、熱が出ている時には免疫細胞たちが活発に動けるように体温をあげています。
ですので、熱が高いというだけでむやみに解熱剤を使いすぎるのはあまりよくありません
私は、高熱で眠れない、食べられない場合は体力が落ちてしまうので解熱剤を飲ませますが、39度あっても元気なら飲ませません。
でも、予防接種の後の発熱は別です。
解熱剤を使って体温を下げてあげても、予防接種の効果が減るわけではありませんので、
解熱剤嫌いな私ですが、無駄なストレスを与えないように飲ませました。

ビタミンドロップやらカルポルやら、離乳食を始める前にやたら甘い物を飲ませてるなあ…

うちの子は熱が出る気配がなかったので1回飲ませてやめましたが、
3回飲んだ後も高熱が出る事もあるようです。

また、MenBワクチンは接種した場所がかなり腫れました。

日本で生まれ、MenBワクチンを受けていなかった上の子も渡英後に受けたのですが、
この子も打った所が腫れて痛みで夜中に起き、寝付けない様子。
カルポルは解熱剤ですが痛み止めの効果もありますので、カルポルを使って乗り切りました。

日本では任意接種のワクチンは? 〜ロタウイルスワクチン

日本では任意接種ロタウイルスワクチンですが、イギリスでは定期接種です。
定期接種:市区町村が主体となって実施、基本無料で全員受ける
任意接種希望者が自己負担で受ける

ロタウイルス(Rotavirus)とは?

ロタウイルスとは、胃腸炎の原因となるウイルス。

ロタウイルスによる胃腸炎は、他のウイルスによる胃腸炎と比較して下痢や嘔吐が重症になりやすく
乳幼児では脱水のため入院が必要になる事もあります

WHOは全乳児に接種を勧めており、日本でも任意接種ではありますが、接種される方が多いのではないかと思います。

ロタウイルスワクチン

ロタウイルスワクチンは他のワクチンと違い、飲み薬です。
日本では2回内服するロタリックス(Rotarix)と、3回内服するロタテック(Rotateq)がありますが、イギリスで使用されているのは2回のロタリックス
ロタウイルスワクチンは、接種できる期間が短いので注意が必要です。
1回目を生後15週未満まで、2回目を生後24週まで
に接種しないといけません。
これは、副作用の腸重積という腸の病気の発生を防ぐためとされています。

日本で任意接種のため接種していなかった場合、渡英後に接種したいと思っても、生後3ヶ月半を過ぎていたら接種はできません。

肺炎球菌(PCV)ワクチンは3回ではなく、2回だけ

肺炎球菌ワクチンは、日本では0歳で3回、1歳で1回追加の、計4回接種されます。
一方、イギリスでは、0歳で2回、1歳で1回追加の、計3回です。

肺炎球菌(Pneumococcus)とは?

肺炎や中耳炎の原因となる他、髄膜炎(脳や脊髄を覆う髄膜の炎症)や敗血症(血液の感染症)の原因となり、脳に大きなダメージを残したり、命を脅かす場合もあります。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチン(商品名Prevenar 13)の添付文書を見ると、
十分な免疫獲得のため、日本の3回(0歳)+1回(1歳)が推奨、イギリスの2回(0歳)+1回(1歳)でも良い、とされています。

うちの子はGPで2回接種しましたが、日系クリニックでも1回接種し、念のため推奨通りの計3回接種にしておきました。
日本クラブ診療所では日本式の3回接種も可能です。

イギリスで任意接種の予防接種は? 〜BCG(TB)ワクチン

BCGワクチンは結核菌に対するワクチンで、日本では通常生後5ヶ月から8ヶ月で接種しますが、イギリスでは任意接種となっています。

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)とは?

結核菌は、肺で炎症を起こし、肺結核(「結核」と呼ばれているもの)を起こします。

肺結核の他、全身に感染が広がったり(粟粒結核)、脳や脊髄を覆う髄膜に感染したり(髄膜炎)、重症化する場合があります。
BCGワクチンは、重症な結核を予防する効果があります。

結核になる人があまりいない「低まん(蔓)延国」の欧米に対し、日本は結核になる人が少しいる「中まん延国」のため、BCGワクチンが定期接種となっています。
イギリスは低まん延国のため任意接種ですが、イギリス内でも移民の多い地域では結核患者が多く、BCGワクチンの接種が勧められているようです。

イギリスで打つBCGワクチンは「ハンコ」ではない

日本で打つBCGワクチンは、9本の針がついた物をハンコのように、ポンポンと2回押します(皮膚注射)が、
イギリスでは普通の針で皮下注射です。

小児科の先生によると、ハンコ注射よりも打ったあとの反応が強いようです。
うちの子も、接種後2ヶ月あたりから打った場所が腫れ、ある日はぜて膿がしばらく出ていました。

BCGワクチン接種のタイミングは、通常生後すぐ

イギリスでも、

・結核患者数が多い地域
・両親や祖父母が結核患者の多い国出身

の場合は、BCGワクチンの接種が勧められています。
その場合、接種のタイミングは生まれてすぐ、通常退院の前に接種されます

世界的にも「生後すぐ」接種するのが一般的で、
日本のように生後5ヶ月以降を推奨、としているような国は多くありません。

私はプライベート病院での出産でしたが、出産翌日、退院前にBCGワクチンの接種(有料)を希望するか聞かれました。
でも、出産時は勉強不足で、日本の常識「生後半年くらいで打つもの」が一般的と信じていて、生後すぐの接種を断ってしまったので、生後16週までの予防接種が終わった後にBCGを接種しました。

GPでは任意接種のBCGワクチンは受けられません。
生後すぐに病院で接種しなかった場合、プライベートのクリニックで。

BCGワクチンは生ワクチンですので、接種後は次のワクチンまで4週間あける必要があります。
生後すぐに打たず、生後16週のルーティンの予防接種が完了する前に打つ場合には、ルーティンの予防接種との間隔にご注意ください。

生ワクチン:毒性を弱めた細菌やウイルスから作られる、別のワクチン接種を打つ場合は4週間後以降に接種可能
不活化ワクチン:感染力を無くした細菌やウイルスから作られる、別のワクチンはいつでも接種可能(日本では別のワクチン接種は1週間以降に接種可能)

不活化ワクチンの後、1週間あけるというルールは日本だけ

日本では、不活化ワクチンを接種した後に別のワクチンの接種を打つ場合は1週間あけるのが一般的ですが、
これにはあまり根拠はなく、世界的にはこのようなルールは存在しません

当日でも翌日でも、他のワクチンを接種して問題ありません。

「副作用が出た時に、何が原因かわからなくなるから日本では1週間あけている」
と小児科医に聞いた事があります。

イギリスの接種スケジュール通りに予防接種を受ける分には、この知識が必要になる事はあまりありませんが、ご参考までに。

ちなみに、生ワクチンは日本でなくても4週あける必要があります。

イギリスでは、熱があっても予防接種を打てる

日本では、体温を測ってから予防接種を打ちます。
イギリスでは接種前に体温を測りません
(日系のクリニックでは測ります。)

ものすごく体調が悪い場合は別ですが、
「軽い風邪程度で、予防接種を遅らせる方がよくない」
というのが世界的な常識のようです。

イギリスでは、筋肉注射

皮下注射のBCGワクチン、内服のロタウイルスワクチンを除き、0歳時のワクチンは筋肉注射です。
これもイギリスが特殊なのではなく、世界的に予防接種は筋肉注射が一般的

筋肉注射は副作用が少なく、免疫もつきやすいそうです。

一方、日本ではワクチンは基本的に皮下注射です。
(BCGワクチンはハンコ、ロタウイルスは内服)

皮下注射と信じていたので、GPで太ももにブスっと筋肉注射された時には驚きました。

日本では、過去に筋短縮症という病気が起きたため、筋肉注射が避けられているようです。
これは、痛み止めなどを何度も太ももに注射したのが原因とされていて、ワクチンの筋肉注射が危険なわけではありません(むしろ副作用は少ない)ので、安心して筋肉注射を受けてください。

イギリスでは、注射の前に消毒しない

日本では、採血や注射の前に消毒しますが、イギリスではしません。
(日系クリニックではします)

消毒をしなくても消毒をしても、感染が起こる確率は大差なく、不要とされているようです。

イギリスでは、予防接種はナースの仕事

GPで予防接種をしてくれるのは看護師さんです。
(日系クリニックではお医者さんです)

GPを予約する際、電話や窓口で予防接種(immunisation(米immunization), vaccination)の予約と言えば問題ありませんが、
オンラインで予約をする場合は間違えずに看護師の枠をとるように注意しましょう。

まとめ

日本で常識だと思っていた事が、世界的には非常識な事が多く、驚きです。
予防接種に関しては日本よりもイギリスの方が進んでいるので、イギリスで接種する事を不安に思う必要はないと思います。

・MenBワクチンの後は熱が出がちなので注意。
・BCGワクチンを自費で打っておいた方が良い。
・肺炎球菌ワクチンは1回追加するのが推奨されているが、2回だけでも許容範囲。
・GP予約の際はNurse clinicを予約。
・0歳の予防接種を日本で完了してから渡英した場合、MenBワクチンを接種。
・0歳の予防接種の途中で渡英した場合、GPや日系クリニックで相談すると安心。